○富谷市議会議員政治倫理条例
令和元年7月1日
条例第23号
(目的)
第1条 この条例は,富谷市議会議員(以下「議員」という。)が市政に関して市民の厳粛な信託を受けていることを認識し,市民全体の代表者として人格及び倫理の向上に努め,自己の地位による影響力を不正に行使して自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより,市政に対する市民の信頼に応え,公正で開かれた市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は,市政にかかわる権能と責務を深く自覚し,地方自治の本旨に従って,その使命の達成に努めなければならないとともに,第5条に規定する政治倫理基準を遵守しなければならない。
2 議員は,自ら研鑽を積み,資質を高めるとともに,市民の信頼に値する倫理性を自覚し,その品位の保持に努めなければならない。
3 議員は,市民の求めの有無にかかわらず,自ら率先して情報発信をしていかなければならない。
(誓約書の提出等)
第3条 議員は,この条例を遵守する旨の誓約を行うものとし,任期開始の日(再選挙又は補欠選挙により議員となった者にあってはその選挙の期日とし,更正決定又は繰上補充により当選人と定められた議員にあってはその当選の効力の発生の日とする。)から30日以内に,別に定める誓約書を議長に提出しなければならない。
2 議長は,前項の誓約書を提出しない議員があるときは,その氏名を公表するものとする。
(税等納付状況報告書の提出等)
第4条 議員は,議長が別に定める税等の前年度分の納付状況を記載した報告書(以下「税等納付状況報告書」という。)を毎年5月31日までに,議長に提出しなければならない。
2 議長は,前項の税等納付状況報告書を提出しない議員があるときは,その氏名を公表するものとする。
(政治倫理基準)
第5条 議員は,次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として,その品位を損なうような行為を慎み,その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 市民全体の奉仕者として,常にその人格と倫理の向上に努め,その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3) 市が行う許認可又は請負その他の契約に関し,特定の個人,企業又は団体等のために有利な取り計らいをしないこと。
(4) 市職員の採用,昇任及び異動に関与しないこと。
(5) 市職員の公正な職務執行を妨げ,その権限又は地位による影響力を不正に行使するよう働きかけをしないこと。
(6) 確たる事実に基づいて発言及び情報発信を行うこと。
(長の就任に関する遵守事項)
第6条 議員は市民に疑惑の念を生じさせることのないよう,市から補助金等の交付を受けている団体の代表及び市の機関(議会を除く。)の長の就任を辞退しなければならない。
2 議員は,既に前項に該当する就任があったときは速やかに辞任しなければならない。
(請負契約に関する遵守事項)
第7条 議員は,議員が役員をしている企業又は当該議員が経営に携わっている企業に対して,市が行う公共工事(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号)第2条第2項に規定する建設工事をいう。)及び建設工事(建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項の別表第一の上欄に掲げるものをいう。)の下請工事について,市及び元請企業との契約を辞退させなければならない。また議員の配偶者,議員の2親等以内の血族又は議員と同居の親族が経営する企業は,地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第92条の2に規定する趣旨を尊重し,市に対し請負をしてはならない。ただし,当該請負契約等が次の各号のいずれかに該当するときはこの限りでない。
(1) 災害又は事故により,緊急を要するとき。
(2) 防災等のために直ちに対応しなければ市民の生命,財産に著しい危険のあるとき。
(3) 請負契約を辞退することにより,行政執行に著しく支障が生じるとき。
2 議員は,前項に該当する契約があったときは,速やかに議長に,書面により報告しなければならない。
(審査請求の手続)
第8条 議員又は市民は,議員が政治倫理基準に違反していると認められるときは,これを証する資料を添えて,議長に対し審査を請求(以下「審査請求」という。)することができる。
2 前項の規定により審査請求をしようとする者が,議員である場合は議員定数の3分の1以上の議員の連署をもって,市民である場合は有権者(審査請求を行う時点において,市の選挙人名簿に登録されている者をいう。)総数の25分の1以上の者の連署をもってしなければならない。
3 前2項の規定による審査請求をしようとする者の代表者(以下「請求代表者」という。)は,次に掲げる事項を記載した書面に押印し,署名簿及び政治倫理基準に抵触していると疑うに足る事実を証する書類を添えて,議長に提出しなければならない。
(1) 請求代表者の氏名及び住所
(2) 政治倫理基準に抵触する疑いがある議員の氏名
(3) 審査の請求の根拠となる政治倫理基準に関する規定
(4) 政治倫理基準に抵触する疑いの具体的な内容
(政治倫理審査会の設置等)
第9条 議長は,前条に規定する審査請求があったときは,当該審査請求に係る事項を審査するため,富谷市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し,当該審査を諮問するものとする。
2 審査会の委員は,9人以内で組織する。
3 審査会の委員は,次に掲げる者のうちから議長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者(法第18条に規定する選挙権を有する市民を除く。)
(2) 法第18条に規定する選挙権を有する市民
(3) 議員
4 審査請求の対象とされた議員(以下「審査対象議員」という。)及び請求代表者は,審査会の委員になることができない。
5 審査会に委員長及び副委員長を置く。
6 審査会の委員長及び副委員長は,委員において互選する。
7 委員長は,審査会を主宰し,副委員長は,委員長に事故あるときに委員長の職務を行う。
8 委員に欠員が生じた時は補充する。
9 委員の任期は,当該審査の終了までとする。
10 市民委員の氏名等については,原則非公開とする。
(守秘義務等)
第10条 審査会の委員は,審査の過程で知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その者が委員でなくなった後も,同様とする。
2 審査会の委員は,その職務を政治的な目的のために利用してはならない。
3 審査会の委員は,公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
(審査会の会議)
第11条 審査会の会議は,委員長が招集する。ただし,委員長が選出される前に開かれる会議は,議長が招集する。
2 審査会は,委員の半数以上が出席しなければ,会議を開くことができない。
3 審査会は,審査請求の適否及び政治倫理基準の抵触の存否について審査を行う。
4 審査会の議事は,出席委員の過半数で決し,可否同数のときは,委員長の決するところによる。
5 審査会は,審査対象議員につき,政治倫理基準に反し,政治的又は道義的に重大な責任があると認める場合において,議員辞職の勧告,出席自粛の勧告その他の勧告を審査の結果に明記しようとするときは,委員の3分の2以上の者が出席し,その4分の3以上の多数によりこれを決定しなければならない。
6 審査会の会議は,原則非公開とする。ただし,出席委員の3分の2以上の合意により公開できる。
(審査会による意見聴取等)
第12条 審査会は,審査のため必要があると認めるときは,審査対象議員,請求代表者,識見を有する者等に対し,その出席を求め,意見若しくは事情を聴取し,又は報告を求めることができる。
2 議会事務局は,審査会からの要求に応じて,資料を提供しなければならない。
(審査対象議員の協力義務)
第13条 審査対象議員は,審査会から会議への出席又は調査に必要な資料の提出を求められたときは,これを拒んではならない。
2 議長は,審査対象議員が審査会の調査に協力しないとき,又は審査会に対し虚偽の報告をしたときは,その旨を公表するものとする。
(弁明の機会の付与)
第14条 審査対象議員は,審査会の会議に出席し,口頭により弁明することができる。なお,会議に出席できない場合は,書面をもってすることができる。
(議長への報告等)
第15条 審査会は,審査の結果について議長に報告しなければならない。
2 審査会は,審査対象議員の名誉を回復することが必要であると認めるときは,所要の措置を講ずるよう議長に求めることができるものとする。
(審査の結果の通知及び公表)
第16条 議長は,前条第1項の規定による報告を受けたときは,請求代表者及び審査対象議員に対し審査の結果を通知するとともに,議会に報告し,その概要を速やかに公表するものとする。
(審査結果に対する措置)
第17条 議長は,審査会の審査結果を尊重し,審査対象議員に対して,市民の信頼を回復するため,次に掲げる措置を講ずることができる。
(1) 議員辞職の勧告
(2) 出席自粛の勧告
(3) その他必要と認めること。
2 議長は,前項に掲げる措置を講じたときは,その旨を公表しなければならない。
(手続の一時停止)
第18条 不慮の事故等により,審査会に審査対象議員が出席できないときは,審査手続を一時停止できる。
(手続の終了)
第19条 審査対象議員が辞職又は失職したときは,この条例に規定する当該議員に係る手続は,終了するものとする。
(議長の職務の代行)
第20条 議長が審査対象議員となったときは副議長が,議長及び副議長がともに審査対象議員となったときは年長議員が,この条例に規定する議長の職務を行うものとする。
(委任)
第21条 この条例の施行に関し,必要な事項は,議長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は,令和元年7月1日から施行する。