○富谷市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例
令和元年10月17日
条例第30号
(目的)
第1条 この条例は,富谷市の緑豊かな美しい景観,脈々と受け継がれる自然環境及び安全安心な生活環境の保全と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和を図るために必要な事項を定めることにより,自然環境及び市民の生活環境等に配慮した,潤いのある豊かな地域社会及び住み続けられるまちづくりに寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 富谷市の緑豊かな美しい景観,脈々と受け継がれる自然環境及び安全安心な生活環境は,市民の長年にわたる努力により形成されてきた市民共通のかけがえのない財産であり,将来にわたってその恵沢を享受し,持続可能な未来を構築できるよう,市民の意向を踏まえて,その保全及び活用が図られなければならない。
(1) 再生可能エネルギー源 非化石エネルギー源のうち,エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして規則で定めるものをいう。
(2) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。)をいう。
(3) 事業 再生可能エネルギー発電設備を設置する事業(当該事業のために行われる土地の造成工事(立木の伐採,切土,盛土等を含む。)を含む。)をいう。
(4) 事業者 事業を計画し,これを実施する者をいう。ただし,国及び地方公共団体を除く。
(5) 事業区域 事業を行う一団の土地(再生可能エネルギー発電設備に附属する管理施設,変電施設,緩衝帯等に係る土地を含む。)の区域であって,柵,塀等の工作物の設置その他の方法により当該一団の土地以外の土地と区別された区域をいう。
(6) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(7) 行政区 富谷市行政区長に関する規則(昭和58年富谷町規則第9号)第6条第1項別表に規定する町内会等の所管区域をいう。
(8) 地域 事業区域を含む行政区及び当該行政区に隣接する行政区をいう。
(9) 住民 地域内に居住する者及び所在する法人その他の団体をいう。
(10) 近隣関係者 事業区域の境界から50メートル以内の区域に土地若しくは建築物を所有する者又は当該事業によりその所有する土地若しくは建築物についてこれらの者と同程度の影響を受けると認められる者をいう。
(11) 廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。
(市の責務)
第4条 市は,第2条に定める基本理念にのっとり,この条例の適切かつ円滑な運用を図らなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は,関係法令及びこの条例を遵守するとともに,富谷市の景観,自然環境及び安全安心な生活環境に十分配慮し,住民及び近隣関係者(以下「住民等」という。)との良好な関係を保つよう努めなければならない。
2 事業者は,再生可能エネルギー発電設備及び事業区域の管理に万全を期するよう努めなければならない。
3 事業者は,事業で発生する廃棄物を適正に処理するとともに,事業を廃止しようとするときは,再生可能エネルギー発電設備を放置することなく速やかに撤去し,及び適正に処分し,並びに事業区域に係る土地を原状に回復するよう努めなければならない。
(市民の責務)
第6条 市民は,第2条に定める基本理念にのっとり,市の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。
(適用を受ける事業)
第7条 この条例の規定は,発電出力10キロワット以上の事業に適用する。ただし,太陽光を再生可能エネルギー源として発電設備を設置する事業で,次に掲げる事業についてはこの限りでない。
(1) 建築物の屋根又は屋上に設置する事業
(2) 次条に掲げる抑制区域以外に設置する発電出力50キロワット未満の事業
(3) 市街化区域に設置する事業
2 既に設置された再生可能エネルギー発電設備を増設することにより,前項に規定する発電出力以上となる事業においても適用する。
(抑制区域)
第8条 市長は,次の各号のいずれかに該当し,かつ,特に必要があると認めるときは,規則で定めるところにより事業を行わないよう協力を求める区域(以下「抑制区域」という。)を指定することができる。
(1) 自然災害の発生が危惧される場所であること。
(2) 特色ある景観が広く親しまれている場所であること。
(3) 保全すべき景観が保たれている場所であること。
(4) 歴史的又は郷土的な特色を有している場所であること。
(5) その他市長が必要と認める事由のある場所であること。
2 市長は,必要があると認めるときは,前項の規定により指定された抑制区域を変更し,又はその指定を解除することができる。
(協議)
第9条 事業者は,第7条に規定する事業を実施しようとするときは,当該事業に着手しようとする日の90日前までに,次に掲げる事項を市長に届け出て,協議しなければならない。
(1) 事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては,その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地。第17条第1項において同じ。)
(2) 事業区域の所在地及び面積
(3) 事業の内容
(4) 事業の着手予定日及び完了予定日
(5) 前各号に定めるもののほか規則で定める事項
2 事業者は,前項の規定により協議をした事項を変更しようとするときは,速やかにその旨を市長に届け出て,協議しなければならない。
(住民等への説明)
第10条 事業者は,事業を実施しようとするときは,前条第1項の規定による協議を行う前に,住民等に対し,事業内容等に関する説明会を開催しなければならない。
2 事業者は,前条第2項の規定による変更の協議を行う前に,住民等に対し,事業内容等の変更に関する説明会を開催しなければならない。ただし,事業内容等の変更が規則で定める軽微なものについては,この限りでない。
3 事業者は,住民等の理解が得られるよう努めるものとする。ただし,住民等の理解が得ることが困難であるものとして規則で定める理由があるときは,この限りでない。
(協議会)
第11条 市長は,第9条の規定による協議の届出があったときは,必要に応じて,富谷市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する協議会(以下「協議会」という。)を設置し,協議するものとする。
2 協議会は,次に掲げる者を委員とし,市長が任命する。
(1) 学識経験者
(2) 地域の代表者
(3) 関係する団体等の代表者
(4) その他市長が必要と認める者
(協議終了の通知)
第12条 市長は,協議が終了したときは,事業者に終了した旨の通知をするものとする。
2 市長は,必要に応じて,前項の通知に意見を付することができる。
(事業の着手等の届出)
第13条 事業者は,事業に着手し,又は事業を完了し,中止し,若しくは再開をしたときは,速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(事業の確認)
第14条 市長は,前条の規定による届出があったときは,速やかに現地を確認するものとする。
(報告及び立入調査)
第15条 市長は,この条例の施行に必要な限度において,事業者に対し報告若しくは資料の提出を求め,又は市の職員に事業区域に係る土地に立ち入り,当該事業に関する事項について調査させ,若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査をする市の職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があったときは,これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は,これを犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(助言,指導又は勧告)
第16条 市長は,必要があると認めるときは,事業者に対して,助言又は指導を行うことができる。
2 市長は,事業者が次の各号のいずれかに該当すると認められるときは,当該事業者に対し,期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(1) 第9条の規定による協議をせず,又は虚偽の協議をした者
(2) 正当な理由なく第12条の規定による通知を受ける前に事業を着手した者
(3) 前条第1項の規定による報告若しくは資料の提示をせず,若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし,又は立入調査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,若しくは質問に答弁せず,若しくは虚偽の答弁をした者
(4) 正当な理由がなく前項の規定による助言又は指導に従わなかった者
(公表)
第17条 市長は,前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が,正当な理由なく当該勧告に従わないときは,当該勧告に従わない事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 市長は,前項の規定により公表しようとするときは,あらかじめ,当該事業者に弁明の機会を与えなければならない。
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
附則
この条例は,公布の日から施行する。